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2024/08/30

LEADオーナー高雄大善が語る“RED WING”とは。(後編)

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“ヴィンテージを買うというのは歴史を買うということ。自分で歴史をつくっていけるのが新品のRED WINGを買う魅力”

LEADオーナー高雄大善が語る“RED WING”とは。(後編)


前編はこちら


・・・・・

- 100年前から同じものをつくっていれば、技術は進歩する。古ければ良いというわけではないのかなと -



阿部:
高雄さんにとって最初のRED WINGはなんだったんですか?

高雄:
10代の時に祖母に買ってもらったスウェードのエンジニアが最初で、次が成人式の時に親に買ってもらったポストマンですね。もう何回もソールを変えてかれこれ14-15年は履いてますね。

(2014年の高雄氏のインスタグラムの投稿)



阿部:
まさに今度「WILL YOUR WINGS」っていうキャンペーンが立ち上がるんですけど、思いを靴に重ねて受け継いでいくことを啓蒙するようなキャンペーンなんです。高雄さんは靴を受け継いだわけではないですが、ある種これも一つの「WILL YOUR WINGS」だなと思います。

高雄:
そうですね、モノとしてももちろん気に入っていますが、自分の中ではまた別の意味を持っているモノですね。当時広島ではなかなかRED WINGは買えなかったんですけど、やっぱり古着屋に通う中で、かっこいい靴っていうイメージが当時からあったのはよく覚えています。当時は「古い方がかっこいい!」みたいな固定概念があったんですが、今では新品から履き込んで良かったなと思います。



阿部:
古ければ古いほど良いという固定概念、一回は通りますよね(笑)

高雄:
そうですね。今は古いほど良いというよりかは、古いほうが価値があるってみんなが思ってると思うんですよね。もちろん数が少なければ当たり前に価値は上がるんですけど、古い=良いっていうのはまた別なんじゃないかなと思います。

阿部:
RED WINGで言っても、革もそうですし、技術も今の方が良い部分はありますね。当たり前ですけど、昔から同じものを作り続けていけば、技術は向上していくじゃないですか。そう考えると、今の方が技術は圧倒的に高いので、良い靴を提供できていると思っています。 同じものをずっと作り続けているからこそ言えることかもしれないですが。

高雄:
なくなっちゃうと思うと、履くときの意識も変わりますよね。また買えるっていう安心感はすごく嬉しいポイントですよね。だからこそ、ガンガン履ける。

阿部:
ガンガン履いてもらうことこそが一番RED WINGらしいんです。だから、RED WINGは自分たちで変に価値を上げるようなことをしないというか、なるべく身近な存在でいられるようにしたいと思っているんです。



高雄:
最近阿部さんはどんなアイテムが気になってますか?

阿部:
僕はずっと変わらないですよ(笑)
オンブレのシャツなんかは在る種の使命感を感じて買っちゃいますね。
高雄さんはどうですか?



(阿部のオンブレシャツのコレクションの一部)



高雄:
僕は時計ですかね。昔はあんまり興味がなかったんですけど、知れば知るほど良いなと思うようになってきてます。

(高雄氏の愛用しているウォッチとジュエリーの一部)



阿部:
高雄さんも色々買ってアップデートしてると思うんですけど、何着てても高雄さんっぽさってありますよね。買い物する時に意識していることとかあるんですか?

高雄:
うまく言えないですけど・・・強いて言うなら今までやってきた作業の答え合わせみたいな感じですかね。たくさんいろいろな服に袖を通してきたんですよ、ミーハーな服もたくさん着てきたと思いますし。でも定期的に過去の自分の写真を見ていると「この時の自分ださいな」とか「このワークパンツをこのサイズで履くと全体のシルエットが綺麗に見えるな」とか気付くんですよね。その集約が今のスタイルだと思っているので、その結果同じようなものが増えていってるんだと思います。阿部さんも何着てても阿部さんっぽいですけどね(笑)



阿部:
僕はもともとはセレクトショップでバイヤーをやっていたので、その時々のシーズンやトレンドを追いかけてはいたんですけど、RED WINGで働くようになって、これからの自分がずっと大切にしたいと思えるものを買うようになりましたね。自分なりのベーシックというか。実際高雄さんもそうですし、周りの先輩とかも毎年同じようなスタイルでも不思議とかっこ良く見えるんですよね。

高雄:
男社会特有と言うか、先輩の影響力みたいなものはありますよね。先輩から譲り受けたものとかって、今でもすごく特別な思い入れがありますし、先輩方が築いてきた道にしっかり続かなきゃいけないとは日々思います。もちろん、そこに自分らしさというのも足していきたいなと思っていますが。

阿部:
そうですね。僕もこれだけ長く続いているブランドに自分が関わっている中で、自分が影響を受けたように、20代や10代の方にもしっかりとブランドの魅力を伝えていきたいと思っています。さらに言うと、女性にももっと魅力も伝えていきたいなと思っています。



高雄:
ヴィンテージの洋服も今たくさんの女性のお客様が買ってくれています。

阿部:
その流れはありますよね。僕たちRED WINGもそうなんです。ありがたいことに女性のお客様が本当に増えてきていて。この靴は、代表の小林が3年履いたブーツなんですけど、僕ら男性の履くRED WINGとはまた違う魅力があると思うんです。

(代表小林の私物ブーツ)



高雄:
3年とは思えないですね。素敵。最初に話したミックス感みたいな話ですけど、女性がアメカジに寄せてRED WINGを履くだけじゃなくて、モードだったりとか他のスタイルのハズしというか、ポイントでワークブーツを履くみたいな流れはありそうですよね。メンズのモノのイメージが強いだけで、ちょっと誰かが履いたら一気に浸透するみたいなことはありそうですよね。それこそ一昔前はボロボロのGジャンなんて女性が着るなんてありえなかったんですけど、今ではシャネルとかエルメスとかに合わせるために、ヴィンテージのセカンド(507XX)とか買っていく人とかいて、こちらが良い刺激をもらいますね。女性だけじゃなくて、若い子の勢いもすごいですね。


・・・・・

- 誰もが簡単に「モノを売る側」になって、自分にとって本当に大切なものを考えるようになったのかもしれない -

阿部:
ヴィンテージをはじめとした、古着が様々な方面に広がっていっていますよね。

高雄:
いわゆる「スーパーヴィンテージ」みたいのはやっぱりある程度の年齢にならないと買えなかったりするんですけど、若い子たちがどんどん自分のスタイルにヴィンテージを取り入れていっています。僕らは、例えば70sの服を同じ年代で揃えたりすると、コスプレっぽくなっちゃうというか、少し小っ恥ずかしくなったりするじゃないですか。だからあえて、ハズしたりとかすると思うんですけど、若い子は感覚で着てるので僕らがナシだと思ってた合わせをアリにできる。

阿部:
もう古着とかヴィンテージはブームの一言では語れないですよね。

高雄:
そうですね、もうかなり浸透してるなって思います。純粋に楽しんでくれてるというか。僕らくらいの30代くらいの世代って、古着とかヴィンテージのブームを牽引してきた先輩たちからの影響が強いので、良くも悪くも歴史を変えるみたいなことに臆病になってしまう。
でも今の20代とかって、その先輩たちの直系ではないというか、僕らの世代をすっとばして、SNSで情報収集をして、自分なりの楽しみ方をしてる。ルールとかよりも、自分たちの感性をベースにファッションを楽しんでる気がします。



阿部:
「こうじゃなきゃいけない」がない世代ですよね。実際、RED WINGのお客様でもそういう若いお客様で、素敵に履いてくれてる人がたくさんいます。凝り固まっていないというか。
新規の売上で言うと、20代のお客様が一番伸びている層だったりします。

高雄:
昔は、安いのも古着の良さだったんですよ。もちろん今でもそういう側面はあるんですが。でも今ってやっぱりメルカリとかで、自分が「売る側」になるっていうのが当たり前になった。その結果、「自分の買ったものにどういう価値があったのか?」っていうのを簡単に知れるようになってしまった。もちろん他人にとっての価値と自分にとっての価値はイコールではないんですけど。だからこそ、買い物で失敗したくないとか、長く良いものを使おうっていうふうに思う人が増えたんだと思います。

阿部:
誰もが簡単に売ったり買ったりをするようになって、自分にとっての本質的に価値のあるものがなんなのかっていうのがわかりやすい時代になってきていますよね。

高雄:
買うときよりも、売るときの方が自分にとって本当に自分が大切にしてるかどうかってわかる気がするんですよね。振り返ると、ワードローブとか靴箱とか見渡して、「これ本当に手放して良いのか?」みたいなことを考えてた瞬間が自分の今のもの選びの基準を形成した気がします。

阿部:
みんなそういう経験をしていますよね。実際僕もそうですし(笑)
高雄さんはこれからも引き続き、同じスタイルでやっていく感じですか?

高雄:
そうですね、大きくは変わらないですかね。ただ、今年中に新しい店舗というか、応接間みたいな空間をつくろうと思っています。

阿部:
応接間ですか?(笑)

高雄:
はい、よくわからないと思うんですけど、洋服の並んでいない洋服屋をやりたくて(笑)
また完成が近づいたらお話させてください。

阿部:
楽しみにしています。本日は貴重なお話ありがとうございました。

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